ミートホープ食品偽装事件 - 本当にあった閲覧注意

ミートホープ食品偽装事件 – 本当にあった閲覧注意

2007年、日本全土を揺るがす食品偽装事件が発覚した。牛肉の加工卸業者による衝撃の偽装事件は、後に消費者庁が設置される契機ともなったとされている。

どんな事件だったの?

2007年、内部告発によって牛肉ミンチ偽装事件が発覚した。
事件を起こしたミートホープ株式会社は倒産、社長は実刑判決を受けた。
多くの取引先が影響を受け、事件は社会問題へと発展した。

日本中がどよめいた衝撃の食品偽装事件

ミートホープ株式会社は1976年に創業した食品卸会社である。事件発覚前の2006年には従業員数約100名、グループ全体で500名程度の大企業であり、最盛期は北海道内の食品加工卸業界で売上第1位を誇っていたという。

社長の田中氏は肉の研究に熱心な人物として知られ、商品開発に没頭する天才と言われていたという。しかし、その内情はコストダウンと称した偽装の数々であり、本来は廃棄されるべき肉を混ぜたり、牛や豚の内臓などの添加物を配合するなどしていた。

事件が世間に明るみになったのは2007年。同社の取締役である赤羽氏が行った内部告発によるものだった。赤羽氏によれば、同社による食品偽装を知ってからは社長に改善を求めたそうだが、それが受け入れられることはなかった為、匿名で地元の保健所や給食センター、農水省に告発を行ったが、それら行政機関は調査を行わず黙殺したという。

2006年、赤羽氏は同社を退職。身分を明かした上で、農水省に不正挽肉の現物を持参して調査を依頼したが、農水省はサンプルの受け取りを拒否、同社への指導も行わなかったとされている。その後、複数名のミートホープ社幹部も退職して赤羽氏に賛同、報道機関への告発を開始したが、北海道新聞社とNHKには黙殺されたようである。

2007年、告発を受けた朝日新聞社が調査を開始。冷凍牛肉コロッケをDNA検査した結果、豚肉や鶏肉、その他の肉が検出され、食品偽装が立証された。これにより、同社の食品偽装は「牛肉ミンチ偽装事件」として世間に知られることとなり、その後の調査で、「牛肉100%」と表示した挽肉に、豚肉や鶏肉、豚の心臓、さらにはパンの切れ端などを混入させて水増しを図っていたことも発覚した。また、肉の色味を調整するために血液を混ぜたり、味を調整するためにうま味調味料を混ぜたりしていたことも判明している。

2008年、同社社長の田中氏は懲役4年の実刑判決を受けた。この事件には多くの取引先が影響を受け、社会問題へと発展。2009年には、予定を前倒しして消費者庁が設置される契機ともなった。

告発者の苦悩…「返り血が大きすぎる」

事件発覚のきっかけを作った赤羽氏による内部告発。勇気ある行動として称賛された一方、彼を取り巻く環境は大きく変化してしまった。事件から10年後の2017年、Yahoo!ニュースの取材に応えた赤羽氏は、「もし当時に戻れたら告発などしない」と後悔を滲ませたという。

「やっぱり、内部告発は告発した本人の身を滅ぼすと思う。内部告発はすべきでない、と僕自身は思いますね。自分の会社のやっていることがイヤなら、黙って辞めていけばいい。見て見ぬふりをしておくことにはなりますが。」

赤羽氏によれば、事件発覚後、同社は倒産し100名近い従業員は全員解雇された。かつての取引先からは「偽装と知っていて売りつけたのか！」と批判された。周囲の視線が気になり、眠れない日が続いた。家族にも迷惑をかけ、当時住んでいた場所で生活することさえできなくなったという。他人から見れば告発に意義はあった思えるが、赤羽氏は仮に10年前に戻ったら告発などしない、と言う。

「あの時はね、やはり勇気があったと思う。（会社が）こんなことしていいのか、と。すべてが偽装だったんだから。でも、今になってみればね、『バカなことをしたな』という気持ちが強いね。社会的には意義があったかも知らんけど、本人の利益を考えたらだめですね。後悔したって仕方がないけど、返り血が大きすぎますから。」

日本で起きた最悪の食品偽装「ミートホープ事件」の全貌

参考サイト

食品に限らず、偽装事件というのはこれ以外にも存在しており、そのきっかけは内部告発によるものが多い。この事件を通して感じるのは、告発者の信念とは何なのか、ということであろう。偽装に気がついた時点で会社を辞めればいいという意見もあるだろうし、勇気をもって告発すべきだ、という意見もあるだろう。

しかし、それは他人が正義を振りかざして言っていいものではない。なぜなら、告発の責任をとるのは告発者本人であり、他人が背負えるものではないからだ。偽装を知りながら黙って辞めた人も多いだろう。でもそれを責めることはできない。それは本人の信念に基づくものであり、他人には知ることのできないものであるからだ。

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